スタッフコラム「ゴルフボディを作る」

第276回 ショートパットとミドルパットを分析して改善点をみつける

皆さんこんにちは。パッティングストローク分析を担当している遠藤です。
今月は、現在私がTGFで行っているパッティングストローク分析を皆さんに分かりやすく説明していきたいと思います。

短いパットを外すっていやですよね…。せっかく250 Yardを飛ばしても、50cmを外してしまうとがっかりしますね。私自身も以前は本当にショートパットが苦手で最近入るようになったとはいえ、普段のラウンドから細心の注意をして打っています。

今回は、私のデータをもとにショートパットとミドルパットの時のストロークを分析してみました。私の場合はフェースローテーションが通常のストロークよりもなくなってきて右に押し出すということが自分のショートパットのミスでした。プッシュアウトが出れば、次は引っ掛けになって悪いスパイラルに入っていってしまいます。

これも自分では原因がわからなかったので、SAM PuttLabで分析してみました。今回はきっとここに差が出ていると思って、まずはフェースローテーションに注目してみました。

これが3mの距離のフェースローテーションで、テークバックが終わった時のフェースの開きが6.5度、インパクトではほぼ真っ直ぐの0.1度オープンでした。そしてインパクト前10cmと、インパクト後10cmのクローズの動きは前が3度、後が2.8度とほぼ同じ。

こちらは1mの距離のフェースローテーションで、テークバックが終わった時のフェースの開きが3.9度、インパクトではほぼ真っ直ぐの0.1度オープンでした。そしてインパクト前10cmと、インパクト後10cmのクローズの動きは前が2度、後が1.8度とほぼ同じ。

この二つのデータを見ると距離が短くなっているので、もちろんフェースの開きは少なくなるのですが、自分の意識ではもっとローテーションをしないで打っているつもりでした。その中のクローズの動きも3mの時よりも1mの時に動きが小さくなるのは当然で、これだけ見ると何の問題もないように見えます。

ここに結構違いが出ると予測していたのですが、それほどの差は見当たりませんでした。(もちろんここで明らかな差が出る人もいると思います) ですが他のSAM PuttLabのデータを見てみると意外なことがわかりました。

3mのパットの時と、1mのパットの時のデータを比較してみましたが、特にミスが出そうな数値は見出せませんでした。ですがクラブ軌道のデータをみてみると意外なことがわかりました。

まずはこれが3mの時のストローク軌道です。軽いインサイドインでなかなか良いストロークができています(自分的にはちょっとインサイドに引きすぎていますが…)。そして左に出ている数字がインパクトの瞬間のヘッドの入り方です。プラスの数字がインサイドアウト、マイナスの数字がアウトサイドインを示します。

平均すると0.5度のインサイドアウトなので、フェースが真っすぐに向いていればほぼ真っすぐ飛んでいるということになります。6球目、7球目が1.26と1.62になっていますので、これは他のストロークよりも少しインサイドから入り過ぎているので、これにフェースの向きが右向きで入ってくると右に飛び出すことになります。

そしてこれが1mの時の軌道です。やはりこれを見るとインパクト後にインサイドに入ってくる度合いが3mの時よりも減っているのがわかります。インサイドストレートな感じです。そしてなにより左側の数字(インパクトの瞬間のヘッドの入り方)がすべてマイナスになっています。マイナスということはカット軌道ということです。

カット軌道でフェースが真っすぐなのでちょっと左目に打ち出している感じになります。打ち出し方向の平均値も3mの時には0.0度になっているのですが、1mの時にはカップ内ですが左に大きく打ち出していたり、右に大きく打ち出しているものがありました。

この左右のばらつきはインパクト時のフェースの向きと軌道の組み合わせのパターンによるものです。ある程度ストローク幅がある3m程度のストロークでは大きく右に行ったり、左に行ったりのパターンが出ることはほとんどありません。ですが、小さい動きではインパクト時のフェースの向きと軌道が安定してつくれていないということですね。

これで練習のテーマを絞ることができました。これからどうやったら一定方向からヘッドを入れられるか、フェースの向きを安定させられるかを考えてみたいと思います。

今回は自分の場合でしたが、人によってこのパターンはずいぶん変わってくると思います。

普段のストロークとの違いがわかるとミスの原因もわかって、どういう意識でショートパットを打てばいいかが明快にわかってくると思います。

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遠藤 仁史
遠藤 仁史

1965年生まれ。埼玉県出身。北里大学を卒業後、北里研究所にて研究員として働きながらゴルフ/ゴルフクラブに関する知識を蓄積。2010年に ACTEK GOLFを東神田にオープンし、様々なフィッティングを創造しながら活動を始める。自身もアマチュアゴルファーとして試合に出場。競技ゴルファーとしての見地を活かし、様々なレベルのアマチュアゴルファーにゴルフクラブの提案、スイングの分析を行う。特にパッティングに関しては SAM PuttLab を駆使し、パッティングデータを提供。また使い手に合わせたパターの調整なども行う。パターのコレクションは PING の古いパターを中心に300本以上。パター収集家、評論家としても活動中。

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