こんにちは! ゴルフコーチの赤坂です。
全4回に渡って縦の運動動作を目的にお伝えしているコラム、今回が最終回です。
1回目と2回目は上半身の使い方やメカニズムを、3回目と今回は下半身の使い方に視点を置いてお伝えしています。
コラム全体のテーマはこちらです
一昔前に言われていた感覚的要素の強いゴルフ理論を、映像とデータ解析が進んでいる今の時代なりの見解や新しい認識を4回に渡ってお伝えしています。
内容としては「体を回せ」「腰を切れ」「右肩をさげないように」「膝の高さを変えずにスイング」、、、、、などの、体を地面に対して横に回していくスイングから脱却して、体を縦に使っていくことを目的とした内容になっています。
水平回転では、、、
体が起きやすく軸ブレによるミート率の低下や、トップポジションにおいて腰も回りすぎるため、適切な捻転差が得られず飛距離の低下にも影響してきます。
また、あらゆるゴルファーの悩みでもある手元の浮きや体の開き、ヘッドアップに関しても水平回転が原因です。
ボールは地面にあり、骨盤を含めた上半身は前傾姿勢をとっています。
野球やテニスのように水平ではなく、ゴルフでは力のベクトルを地面方向に伝えていきましょう!
今回は「膝を曲げたままスイングする(膝の角度キープ)」についてです。
この言葉は、日本全国に広まっており昔から言われてきましたが、何を目的にこの言葉が使われていたかというと正確なインパクトを手にしたいからではないでしょうか。
ミート率=アドレス時とインパクト時の膝の高さが変わらなければ、正確なインパクトが得られるという考え方です。
間違いではありません、確かに膝の曲げ伸ばしをするとインパクトが不安定になることは想像できます。
<膝の伸びたインパクト>
ただし、膝を曲げたままのスイングでは決定的な欠点があります。
今回のメインテーマである縦の運動ではなく、横の運動動作になりやすく、地面にあるボールに対してエネルギーを効率良く伝えることができず飛距離の低下に影響してくるという点です。
なぜ膝を曲げたままスイングをすると飛距離に影響があるのでしょうか?
答えから言うと「地面反力(グランド・リアクション・フォース)」を使えないからです。
地面反力とは、力を加えることで受ける地面からのエネルギーになります。
例えば、地面を50キロの力で押すと、力を加えた向きの反対方向に、同じ50キロの力が返ってくる仕組みです。
(力学の基本である「ニュートンの運動法則」、作用反作用の法則より)
スイング中に地面反力を得られたかどうかは、膝の伸び方で確認できますので、膝の高さが変わらないスイングは地面からのエネルギーがないに等しい、もしくは反力はあるけど抑え込んで使用していない、すごくもったいないスイングといえます。
特に最近のプロ選手のなかで、地面反力を使っていない選手はいません。
インパクト前後での膝の伸ばし方に差はあるものの、飛距離がでる選手ほど地面反力によってトリプルエクステンション(足首・膝・股関節の伸展)が強い傾向があります。
PGAツアーで驚異的な飛距離を生み出している、ダスティン・ジョンソン選手や今季絶好調のジャスティン・トーマス選手などは、まさにこの地面反力を最大限使えている2人といえますし、もちろん日本を代表する松山英樹選手や石川遼選手にもみられる動作です。
<ジャスティントーマス>
では、これらのプレーヤーは実際に地面反力を意識して膝の曲げ伸ばしを行っているのでしょうか?
実際に床反力が使えている選手に聞いたり、個人的な経験則を含めお話すると意識はしていません。
なぜ意識をしていないのに、飛距離がでるプレーヤーの共通事項になっているのかというと、普段の生活や他のスポーツの中では自然に行っている動作だからです。
その場で、立位の状態から高くジャンプしてみてください。
<(立位)→ジャンプ→飛べない>
<(屈曲)→ジャンプ→>
<→高く飛べます (セルフタイマーで撮影しました。笑)>
高く飛ぼうと思えば自然と膝を屈曲させて、地面の反力を使って高くジャンプしますよね。
立位の状態から反力を受けずにジャンプしようとしても、人間が自分の力だけでジャンプできるのは小さなものなのです。
子供(ジュニア選手)のスイングを見ると、さらにこの動作が自然と行われていることに気づけます。
大人に比べ、腕力や体格に劣る子供がボールを遠くに飛ばしたいと思ってスイングをすると、自分以外からもパワーを捻出しようとして地面反力を使い膝が伸びる傾向があります。
誰から教えられたわけでもないのに、自然と反力を受けてスイングスピードを加速させます。
ゴルフのようなスイング動作の場合、地面を強く押すことによって跳ね返ってくる力を体の回転力に変換してクラブを加速させていきます。
体格や筋力以上のパワーを生み出し、遠くへ飛ばせる秘訣がここにあるのです。
エネルギーの発生の動きは左右から上下へと変わった
以前言われていた飛ばしのエネルギーといえば、左右の体重移動が真っ先に思い浮かびますが、近年は今回説明している上下の運動動作がパワーの源になっています。
パーシモンからのクラブの進化、タイガーウッズ選手のプレースタイルによるゴルフ選手のアスリート化などが要因にあります。
地面と平行な体重移動の力、地面反力を利用した縦方向の力、そして体の回転スピード、
クラブヘッドを加速させる要素はこの3つです。
横の体重移動から、縦の地面反力を利用して回転スピードを上げるスイングへと時代は移行してきました。
地面反力を受けるうえで今回お伝えしたい一番大事なポイントがあります
地面反力を使っているプロ選手の真似をして、必死に膝を伸ばそうとしている方を見かけますがミート率が低下してしまいます、なぜでしょう、、、、
それは、地面を踏まずに、ただ膝を伸ばしているだけの動作になっているからです、踏まずに伸ばすとアドレスで構えた位置よりも体の各パーツがインパクトで上昇し、アーリーエクステンション(伸び上がる)の動作になり、ミート率の低下に繋がります。
踏んで(沈んで)伸ばすので、アドレス位置よりも伸び上がることはなくミート率も保つことができます。
膝を伸ばすことを目的にするのは間違いで、踏んだ結果、反力を得て膝が伸びることが正解です。
結果的に伸びることを目標にしましょう。
また、3回目でお伝えしたダウンスイングにおける骨盤の向きも影響してきます、ダウンスイング時に右膝が正面にでて骨盤が起きると、力のベクトルが空中方向へいくので、横回転スイングでは地面反力を得られません。
右膝が前にでないようにして、骨盤の前傾角度をキープすることで、エネルギーを地面(ボール)方向へ伝えていくことにより、地面反力を受けられます。
<ダウンスイング地面を踏む(沈む)>
<インパクト 地面反力を受ける>
地面反力スイングの提唱者であるクォン教授(テキサス大学でバイオメカニクスを指導)が、来日した際に言っていた言葉が「ゴルフスイングをするうえで、地面は唯一の友達だ!」、要するに、地面はあなたを手助けしてくれる唯一の仲間であるということです。
今回の議題である、膝を曲げたままのスイングについての答えですが、膝は縦方向に力を向けることで、屈曲して伸展する動作になり、エネルギーを最大化するために自然なことであり、重要なポイントです。
4回に渡って縦の運動動作についてお伝えしてきました。
昔の感覚的な要素の強いゴルフ理論から、現代の認識へと紐解いていきましたが、どうだったでしょうか。
縦の動作と題して、お伝えしてきましたが、上半身が前傾姿勢をとっているゴルフでは、特別なことではなく、シンプルな体の使い方であり、効率の良いエネルギーの出力方向です。
今回の内容が少しでも参考になっていただけたなら幸いです!
お読みいただきありがとうございました。
まとめ
- 膝の高さを一定にしては横回転スイングになってしまう
- 地面反力(エネルギーの最大化) 地面を踏む→膝が伸びる