トータルゴルフフィットネス、トレーナーの谷崎です。
今回は私の長年の課題でもあった「起き上がり」を防止するための身体の使い方をご紹介します。
ゴルフスイングで起き上がりに悩んでいらっしゃる方はかなり多いと思います。
TPI(タイトリストパフォーマンス研究所)によると、アマチュアゴルファーの約65%が起き上がっているというデータもあります。
起き上がりというのは、スイング中にアドレス時に作った前傾角度が失われて、骨盤がボール方向に近づいてしまうスイングエラーです。
起き上がるとどんなデメリットがあるのかというと、- 体と手元が近いため、クラブの通り道が狭くなりフェースを慌てて閉じるために方向性がバラつきやすくなります
- ハンドファーストになりにくくなり、強くボールを打つことができません
- 打点がずれる可能性が高くなるので、ダフリやトップになりやすいです
器用な方は起き上がっていてもある程度のスコアを出せるかも知れません。
しかし、安定して良いスコアを出し続けたり、もう一段階上のステージに行くためには、起き上がりは必ず排除しなくてはいけない問題です。
起き上がりには3つ原因があると考えています。
1つ目は、「ダフりそう」という感覚です。
起き上がることによって、地面から身体が遠くなり、その分手を伸ばしてボールを打っているので、前傾をキープすると地面と体が近くなったと感じるので、今までの打ち方だとダフりそうという感覚になります。特に起き上がり歴の長い方は、この感覚が気持ち悪いでしょう。実際にダフってしまうことも多々あると思います。
ラウンドがあると、ダフりたくないので、ついまた起き上がってしまって、なんとかそのラウンドをしのぎます。そうするとずっと起き上がりは直せません。
前傾をキープしたまま打つためには、起き上がっていたときとは違うクラブ操作が必要になります。特にいつどこでどのようにリリースするかがカギになってきます。それについてはゴルフコーチのレッスンを受けるのが確実だと思います。
2つ目の原因は、「勘違い」です。
これが私にとっては起き上がりを直す最大のきっかけになりました。
ゴルフスイングの起き上がりは英語でアーリーエクステンション(early extension)と言います。
アーリーは「早い」ですが、ここで言うエクステンションは「伸展(伸ばす)」という意味です。「早すぎる伸展」という解釈で良いと思います。
何を伸展させるかですが、股関節です。
股関節を屈曲(曲げる)、伸展(伸ばす)は下の写真の通りです。
ゴルフでは地面に足がついていますので、屈曲は上半身が前傾した状態になります。
この前傾が起きていく=股関節の伸展になります。
アドレス時に股関節を屈曲していますが、誰でも最終的には股関節は伸展します。
プロゴルファーでもそうです。しかし、この伸展が早すぎてはいけませんという話です。
バックスイングをあげて、その後ダウンスイングの最初から股関節を伸展しようとしている人が多いのではないかと思います。
床反発を使おう、体重を移動して地面を踏もう、という意識が強すぎるせいかも知れません。
バックスイングをあげたらその後はまずローテーションをしましょう。その後で伸展します。
修正するイメージとしては、バックスイングでおへその向きが右(右斜め下)を向いたら、そのおへその向きを左斜め後ろくらいまで、ぐるりと回してみてください。
これだけで起き上がる確率がぐっと下がると思います。
そして3つ目の原因は「身体が動かない」という問題です。
理屈はわかっても前傾を維持したまま骨盤が回らない、または回しにくいという方がいます。特に身体が硬い人、シニアゴルファー等に多いと思います。
ここでトレーナーの出番です。
起き上がりと股関節の関係性はかなり大きなものがあります。
股関節を正しく屈曲・伸展、回旋できるようにエクササイズを2つご紹介します。
まず1つ目のエクササイズは「ヒップヒンジ」です。
やり方は、クラブを両手で肩幅よりやや広めに持ち、ももの付け根に当てて、背筋を伸ばします。クラブをももの前に当てたまま滑らせるようにし、お尻を後ろに引いておじぎしていきます。肘は曲げないようにしましょう。
ポイントは背中が丸くならないようにすることです。そして膝も曲げすぎないように注意します。
股関節から身体を曲げるイメージをしっかり作っていきましょう。
2つ目のエクササイズは「ヒップローテーション」です。
やり方は、両足のつま先を内側に向け、ゴルフのアドレスくらい前傾します。
手はクロスして両肩にふれます。このまま体重を右足に乗せ、右利きの方はバックスイングをするように上半身を右にねじります。
この時に、右足裏の内側がめくれそうになりますが、めくれないようにしっかり踏みましょう。しっかりねじったところで3回深呼吸します。これを左右2回ずつ行ってみましょう。
股関節をスムーズに回旋できるようになります。
しっかりとイメージを作って、動きやすい身体になるように整えて、起き上がりを防いでみましょう。
詳しくは動画をご覧ください。