年明け、何かと気になるのが「正月太り」。忘年会にクリスマス、お正月と、沢山ご馳走を食べて体重増加に悩む人も多いのではないでしょうか?
そんな時、多くの人は「ダイエットしたいからスイーツを食べない」「ダイエット中だからカロリーが低いものを食べれば大丈夫」「ギルトフリースイーツ(オリジナルのレシピより白砂糖・脂質・油等が少ないお菓子、食べても罪悪感が少ないお菓子)なら大丈夫」と、カロリー摂取を気にします。
しかし、疑問に思うのが「食べ物を食べて罪悪を感じる必要があるのか?」ということです。
オックスフォード大学辞書によると、「food(食糧)」とは、「栄養成分を指し、人間・動物が食べたり、飲んだり(植物の場合は吸収したり)し生命の維持・成長するために必要とするもの」とあります。また、「栄養成分」とは、「健康及び成長に必要な食糧を提供するまたは得る過程」とあります。つまり、全ての食べ物は本来「ギルトフリー」なのです。
今回のテーマは、皆さんが罪悪感を感じやすい食事である間食、いわゆる「補食」についてです。
補食とおやつを混合しないことが大切
「補食」を「お菓子」というイメージでとらえる人がいますが、「補食」とは、糖質・タンパク質・ビタミン等の栄養素を効率よく、手軽に摂取できる食品や料理を指します。アスリートは、練習内容や試合前後で、必要なエネルギーや栄養素を摂ることが大切です。しかし、練習のスケジュールや試合の進行等で、食事時間が不規則になりがちです。空腹状態で運動をすると、パフォーマンスの質が落ちたり、怪我をしたりします。だからと言って、消費したエネルギー補給のために一度にどか食いをすると、急激に血糖値が上昇してしまい、体への負担が大きくなります。しかし、補食を摂ることで、急激な血糖値の上昇を避け、適切な栄養補給が可能となり、エネルギーレベルを安定させることができます。また、気分転換のきっかけにもなります。
したがって、捕食をとることは、消費エネルギー量や胃腸の強さ、体調、トレーニングスケジュール等も考慮すれば、悪いことではないのです。
効果的な補食の摂り方
それでは、どのように補食を摂るのがよいのでしょうか?
一般的には、
(2) お腹がいっぱいになって練習に支障がないタイミングに食べる
(3) 1日に食べる総量(必要エネルギーと栄養素)を変えない
(4) 補食で摂りすぎた場合は、他の食事で調整をする
ことがポイントと言われています。
次に、どのような補食を摂るのがよいのでしょうか?競技別で補食の違いはあるのでしょうか?
ゴルフは、長時間歩いたり、頭を使ったりするスポーツです。よいパフォーマンスを維持するためにはやはり水分補給も欠かせませんが、最近では、渋野選手をきっかけに補食も注目されるようになりました。(水分補給については、「第312回 勝つための水分補給のポイント」をご参照ください)捕食には色々なトレンドがありますが、手軽に糖質が補給できるアミノ酸入りエネルギー飲料やエネルギーゼリー、バナナやおにぎりが人気です。また、トップアスリートの中には、勝負補食を決めている選手もいるようです。
ちなみに、海外のゴルファーの間ではどのような補食が好まれているのでしょうか?
やはり、エネルギー補給として、水分と炭水化物がとれる補食が中心のようです。また、トーナメントのように、数日間に渡りラウンドをするような場合は、リカバリー食も補食に取り入れています。 例えば、フルーツ、野菜スティック、ドライフルーツ、ミックスナッツ、グラノラバー、ハムとチーズのサンドイッチ等、手軽に食べられるものが人気のようです。水分不足によるパフォーマンスの低下を考えて、水分も一緒に摂れるフルーツや野菜スティックを摂っている選手もいます。
例えば、ラウンド中に150キロカロリー程度を補食で補うとするならば、カロリーの質を考えて次のような補食を摂っている選手もいます。
- リンゴ1個とローファットチェダチーズ約28g(タンパク質7g)
- アーモンド15個とブドウ1/2カップ(タンパク質5g)
- グラノラバー1個とオレンジ1個(タンパク質3g)
どのような補食を摂るべきかという正解はありませんが、1日の摂取カロリーや必要な栄養素を効率よく摂るには、毎食の食事と補食をトータルで考えることが大切です。そして、Athelete Wellness™の視点でカロリーの質にこだわることをお勧めします。(カロリーの質については、「第309回 勝つためのコンディショニング作りに欠かせない食事のポイント」でご紹介しています)
レジャーでゴルフを楽しむ人にも、プロ選手の補食は参考になります。
良いスコアを出し、ラウンドを楽しむためにも、プロ選手の水分補給に加えて、補食の取り方を参考にしてみてはいかがでしょうか?ちなみに、アメリカでは、ビジネスエグゼクティブを「コーポレートアスリート」と呼び、リトリートプログラム等では、パフォーマンス向上の為のエネルギーレベルの安定化、気分転換やストレス管理対策として、補食を摂るように推奨しています。アスリートでなくても、仕事等で食事が不規則になりがちな方は、1日のスケジュールと食事のバランスを考慮して、カロリーの質を考えた補食をとることをお勧めします。